動線を解析することで見えてくる訪問者の満足度。
それが分かるSiteCatalystはWebマーケティングの武器
家庭用洗剤から健康食品まで、日用品を幅広く製造・販売する花王は、Webへの取り組みも早く、サイト開設当初よりアクセス解析も行っている。Webマーケティングが重要視されるにつれ、解析ツールへのニーズも高まり、検討の末SiteCatalystを導入したという。その選択の決め手は何だったのか?
花王のWebサイトのオープンは1995年。12年目の2007年1月現在、来訪者数は月間約200万人、ユニークユーザーは月間約100万人にのぼるという、メーカーサイトとしては国内でもトップクラスの大型サイトだ。
開設当時は、フリーのアクセス解析ツールで訪問者数、PV(ページビュー)などの量的な指標のみを見ていたが、「それだけでは来訪者の満足度は測れません。PVが少なくても、知りたい情報を得て目的を果たしていれば満足度は高いと判断できます。そこでアクセス解析では、訪問者の動線を重要視するようになりました」(花王 Web作成部ディレクター 本間充氏)。
動線とは、目的のコンテンツに辿り着くまでの訪問者の経路のこと。これが重要視され始めた理由は他にもある。それはネット検索の普及だ。 10年以上更新を続けてきた同社のWebサイトには、生活に関する膨大な情報ページが蓄積されている。そのため、「『生理』『敏感肌』などの一般用語で検索しても、花王のサイトが上位にくることが多いのです」(同部長 石井龍夫氏)。
バナーを見て興味を覚えてもその場ではクリックせず、あとで検索してサイトを探すなど、ネット検索が当たり前になった昨今、同社のWebサイトは検索からの訪問者数が40%以上を占めるという。
検索から同社のWebサイトに訪問しても、きちんと目的のページに辿り着いているかどうか、解析する必要が出て来た。ネットならではの動きを知ることが重要になったのだ
解析ツールはいくつか変更したが、いずれもサーバーログ形式だったため、データサイズが大きく解析用PCに負担がかかるといった問題点もあり、タグ型の解析ツールの導入を検討し始めたという。
当初、SiteCatalystは導入候補にあがっていなかったが、ソフトバンク・テクノロジーのデモを見た瞬間、「その場で導入を決めたようなもの」だったそうだ。
「それまで使用していたログ形式のツールは、IPベースで訪問者を計測していました。日ごとに変化するIPでは継続的な満足度を測ることは難しく、来訪者が同じ人か違う人なのか、予想はできても確認はできません。しかしSiteCatalystなら、それが正確に計測できるのです」(同 広末守正氏)。
ユニークユーザーの動線が取れるのがSiteCatalystの魅力であったことは間違いないが、もう一つ導入の決め手になったのが、リアルタイムで解析できる点だ。
ログ形式では、生データの使い方によっては異なる分析が行えるものの、解析には時間がかかるうえ加工する手間もある。何の要因によってアクセス数が変化したのか、瞬時に知りたくても不可能だ。
それが3分前のアクセス状況を解析できるようになったこと、とくにマス広告の反応がリアルタイムで見られる利点は大きいという。
「Web誘導型CMのオンエアのタイミングと、サイト訪問数や検索ワードの伸びがクロスしていたら、それを指標にしてグラフにすると、GRP(CMを流す時間帯の視聴率を累積した数字)の値とぴったり合います。これはSiteCatalystの導入効果が表れた例と見ています」(広末氏)。
リアルタイムで得られる手応えは、現場の志気にも影響する。「CMを見て何人がWebに来て、CMでは伝えきれなかったことがWebで何人に伝えられたか。それが分かるので、CM制作チームとWebチーム、各事業部、それぞれでプロモーションを打った意味が出てきます」(本間氏)。
しかもWebサイトに来た後の動きも分かるので、次の施策にすぐ取りかかれることができる。同社にとって導入効果は高いといえそうだ。
しかし導入は簡単ではなかったようで、サイト全体にタグを入れる点で苦労はあったそうだが、そのプロセスで得たものも多かった。
「例えばECサイトなら、商品を買ってくれるということがコンバージョン(サイト訪問者を商品購入や会員登録などの取引に結びつけること)になりますが、花王のサイトでは何がコンバージョンになるのか? 当時ははっきり答えられませんでした」(広末氏)。
ログ形式と違い、目的をはっきりさせないと導入が難しいのがタグ型のツール。SiteCatalystの導入により、見えなかった問題点が目的と照らし合わせて見えてくる点で、スピーディに次のアクションプランに対応できると期待されている。
SiteCatalystは、さまざまな切り口でサイト解析する200種類のレポートを持っている。その中から必要なレポートを選択し、1画面でまとめて表示できるのが「ダッシュボード」だ。
同社でもダッシュボードは活用され、製品ブランドごとに異なる指標を関係部署に提供しているという。
「以前はこちらが出すレポート以上のものはないと思われていましたが、今は『これを知りたい』というリクエストが上がってきます。ダッシュボードなら指標の追加も簡単なので、担当者は有用なデータを拾うことができます」(広末氏)。
提供している情報は、訪問者数、PV、リファラー、キーワードなどの基本的な指標だが、SiteCatalystで取れる「リピーター率」の指標には注目しているという。同社のWebは、製品ブランドごとのサイトが数多く集まっている作りであるため、サイト単位のリピーター率を知るべく現在設定中だそうだ。
また、解析ツールの操作ができなくても、担当ごとにIDを発行することで、それぞれに必要な最新のレポートがいつでも見ることができる。その安心感は、社内でも評価されているという。
「サイト解析の専門家だけではなく、企画者やクリエイターを含め、みんなが成果を見ることができる。SiteCatalystの分かりやすさは、価値が高いと考えています」(石井氏)。
早い段階からWebをコミュニケーションツールと認識している同社では、この点は重要だ。今のところは現状のダッシュボードで満足しているというが、深い解析も可能なだけに、今後はカスタマイズしたレポートの要望も増えていくことだろう。
これから解析を試みたいのが「態度変容」だという。「あるキーワードで来た人が次に来訪するときはどう行動するのか。これまでは、購入者に商品を買った理由をインタビューするしかありませんでした。Webなら『乾燥肌』の検索で来た人が、『キュレル』という商品を見たとして、次に来るときの検索ワードが『キュレル』に変わっていたら、それは態度変容といえるでしょう。我々に接触することで意識が変わったということを分析したいと考えています」(広末氏)。
また、「訪問者の継続的な履歴を追うことで、行動パターンが見られたら見ていきたい。」(本間氏)とも。そこには、例えば花王のあるスキンケア商品を愛用している人は、他のスキンケア商品も見たいと考えてはくれないだろうか? という期待があるという。
家庭に花王の製品はあっても、そうと意識して使うわけではないし、店頭でも「花王コーナー」があるわけでもない。しかしWebサイトなら「これも花王の製品だ」と分かり、次回から別の商品も見に来てくれるかもしれない。そんな訪問者の態度変容の解析もこれから可能なのだ。
花王では、唯一の自社メディアともいえるWebサイトを積極的にマーケティングに活用している。解析するテーマは刻々変わっていくが、柔軟に対応できるSiteCatalystは非常に有効だ。欧米はもとより国内でも大手企業の採用が相次いでいるSiteCatalystは、花王においても欠かせない「武器」となるのでないだろうか。







